当然、2022年という時代性も反映して、ジェンタのデザインには、お揃いのNFT(Non-Fungible Token [非代替性トークン])が多く組み合わされている。HODINKEEでは、NFTが時計コレクターの市場やオークション界に与える潜在的な影響について、あまり時間をかけて検証してこなかったし、この記事でもその複雑さと傾向を説明するのに十分な時間とスペースはない。しかし、これは最終的に高級時計市場のあらゆる側面に影響を与えるであろう、より大きな話題の第一歩のような気がしてならない。ジャン-クロード・ビバーを含む多くの時計業界のベテランたちが、すでに時計の世界におけるNFTとその可能性を推進しており、多くの高級時計ブランドが自社製品の認証にブロックチェーンを使用しているのを我々は目にしてきた。
「ジェラルドは常に時代の最先端にいました。時計製造の限界を押し広げるという彼の遺志を継ぎ、この革命的なスケッチを今日の最も革新的なアートフォーム"NFT"で蘇らせることは、当然のことだと思いました」と、イヴリン・ジェンタ氏は今回の販売に関する公式リリースで述べている。
ジェンタの100点ものデザインは、時計愛好家にとって、時計業界で最も優れた芸術家である人物のオリジナル作品を入札する素晴らしい機会となっている(ロイヤル オークの最初のプロトタイプの手描きスケッチを所有することができたら、どんなに素晴らしいことだろう)。 しかし、最も注目を集めるのは、ジェンタ氏が個人所有していたロイヤル オークであることに疑いの余地はない。
今年初め、オーデマ ピゲのオークションで、ロイヤル オーク コンセプト“ブラックパンサー”フライング トゥールビヨンのユニークバージョンが520万ドル(約5.9億円)で落札され、同社の最高落札記録が更新されたことは、先日も触れた。これは巨額であり、チャリティが入札に与えた影響は計り知れないが、ジェンタが所有する5402もまた同様だ(チャリティを含む。収益の一部は、ヤング・タレントのジェラルド・ジェンタ賞の第1回目の立ち上げに充てられる)。